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 人魚つづきで裸体像Tシャツ計画からもう一つ。
この物件は平塚駅南口ロータリー中央にひっそりとたたずんでいる。
駅前という好条件にもかかわらず樹木に覆われているため多くの平塚市民にでさえ認知されていない。まさにTシャツ着衣には絶好のコンディションである。私はこういう打ち捨てられた存在に妙に魅かれる。

 しかし、この作品の作者は澤田政廣という文化勲章級の著名人である。熱海には彼の記念館があり玄関にはこの作品がそびえている。ブロンズ像というのは複数個作ることが出来るのだ。私は偶然この前を通り「あっ平塚の人魚だ!」ということで彼の存在を知ったのだった。
私としても、人魚は初めてで新鮮ではあった。
Tシャツは上半身に着せるものであるから、作業的にはいつもと変わりなかったが、通常の作品はTシャツの下の‘喪失感’が売りなだけに今回のインパクト弱感は否めない。
 唯一、楽であったのは、普段作業中、見物人から「パンツは穿かせないのか?」という質問がよくあるのだが今回はこれが皆無であった点である。
当たり前であるこの形状ではパンツを穿かせたり脱がせたりすることは出来ないのだ。

 この点においてもいまひとつ盛り上がりに欠ける物件であった。